「電気ねば何もできね」 真冬の停電、県民不安募らせる一日

暴風雪が秋田県内にもたらした真冬の大停電は一夜明けた8日も続いた。
暖を求め、身を寄せ、人々は凍える一日を過ごした。
八峰町八森で1人暮らしする松橋キクノさん(89歳)は8日昼すぎ、自宅の居間に置いた反射式ストーブのそばに腰を下ろしていた。
「底冷えする」。前夜からの停電で、いつも使うホットカーペット付きストーブが動かなくなった。
離れて暮らす息子が2年前に「もしものために」と置いていった懐中電灯を頼りに一夜を過ごした。

天板で湯を沸かし、餅を焼き、なんとか朝食を済ませた。
午後1時すぎ、ニュースを見て心配になったという東京の孫娘から電話がきた。
「もう風つえくて、おっかねがったよぉ」。
苦笑いしながら、孫の心配がどこかうれしそうだった。

八森の別の地区に住む女性(75歳)も1人暮らし。
お湯を入れたペットボトルを湯たんぽ代わりにして夜を過ごした。
「布団に入っても背中が寒くて全然眠れなかった。電気ねば何もできねんだもんな」

暖を取れない人々は、避難所に身を寄せた。
午前8時半ごろ、秋田市土崎港西の北部市民サービスセンターに近くの会社員女性(38歳)が7歳と3歳の子どもを連れて避難してきた。
自宅の朝の室温は9度。下の子の保育園も休園になり、急きょ仕事を休んだ。
「人が集まる避難所は新型コロナウイルスの心配もあったけど、寒さに耐えられなくて」

「凍えてしまいそうだった」。
同市御野場の南部市民サービスセンターに孫の男性(38歳)と避難した仁井田の男性(95歳)は、暖房が使えなかった前夜をそう振り返った。
男性が就寝した後、孫は車中で夜を過ごし、エンジンをかけたままカーラジオやスマートフォンで情報収集しながら夜を明かしたという。
「不安で落ち着かず、祖父のことも心配で寝る気にならなかった。まずは祖父を暖かい場所にと思って避難した。」

秋田市内では、高層マンションでエレベーターが使えなくなり、非常階段の上り下りを余儀なくされた人たちもいた。
機械式駐車場が稼働せず、車が出せなくなった人もいた。

福祉、医療分野にも影響 長引けば命を左右

停電の影響は福祉や医療分野にも及んだ。
「停電が続く場合、休園せざるを得ません。」。秋田市土崎港の「こども園あきた風の遊育舎」の澤口勇人園長は7日夜、保護者に一斉連絡した。
8日午前7時まで待ったが復旧せず、やむなく休園した。

娘(5歳)を通わせる市内の女性会社員は、自分の実家も停電したため夫の実家に子どもを預けて職場へ向かった。
「実家の助けで何とかなったが、こういう時に預け先がない人は仕事を休むしかなくなる」。

同市土崎港の「ナーサリー土崎」は、預け先のない家庭のために自家発電機を使い、保育を実施した。
園児134人のうち16人が登園。職員室の隣の一室で保育を行った。
暖房の効いた部屋で子どもたちは気持ちよさそうに眠っていた。
櫻庭由美園長は「早く復旧してほしい」と話した。

秋田市御野場にある重度障害児・障害者向けデイサービス「にのに」も休業した。
人工呼吸器が必要な利用者にとって、長引く停電は命にかかわる。
「利用者の家族は焦って不安そうな様子だった」。運営するNPO法人の八代美千子代表理事は言う。

停電した家庭では外部バッテリーを使って人工呼吸器を動かした。
復旧に時間がかかった地域の利用者は、かかりつけの総合病院に事情を話して一時入院し、電源を確保したという。

反射式石油ストーブ完売、カセットこんろも売れる

ホームセンターでは、反射式石油ストーブや懐中電灯などが売れた。
秋田市のホームセンターハッピー外旭川店は、午前中に反射式石油ストーブが完売したほか、カセットこんろも売れた。
同市のサンデー秋田自衛隊通店は乾電池やラジオ、懐中電灯を買い求める客が多かった。
阿部勝良店長は「他店の在庫を回すよう手配しているが、いつ、どれくらい届くか分からない」と語った。

自宅が停電した同市土崎港の永井秀悦さん(72歳)は、石油ストーブを求めて3店を回ったが、どこも売り切れ。「寒くて家の中でもコートを脱げない。いつ復旧するのか」と不安そうだった。

秋田市の天然温泉ホテルこまちは予約でほぼ満室になった。
子連れや高齢者の利用が目立ち、日帰り入浴も多かった。

スーパーや銀行、ホテル…さまざまな業種で混乱

停電の影響はさまざまな業種に及んだ。
スーパーでは開店時間の遅れや休業が相次ぎ、買い物をしようと訪れた客が引き返す姿も見られた。
中には冷凍食品やアイスなどを廃棄する店も。休業した店を含む大半のスーパーは9日、通常営業するという。
秋田銀行や北都銀行でも一部支店などで休業や開店時間の遅れが出た。
いずれも来店客に近隣店舗を案内するなどし大きな混乱はなかった。

秋田市土崎港のホテル大和は全館停電を受け、8日の予約客に状況を説明した上でキャンセルしてもらった。
大潟村のホテルサンルーラル大潟では、宿泊客約100人の防寒対応などに追われた。
スタッフは「停電がこんなに長引くとは。十分なもてなしができず悔しい」と話した。

八峰町八森の山本酒造店は、こうじ造りで電気による温度管理ができず、急きょストーブを使った。
山本友文社長は「2日以上停電すれば品質などに影響が出るかもしれない」と心配していた。

秋田魁新報の記事

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<以下は白木個人の意見/感想です>
そうか! 反射ストーブは電気が無くても使えるんですね。
それにしても、停電でいろんなところへいろんな影響が出ていたんですね。
特に真冬の停電は大変です。
どんなものにも設計強度があります。
その強度を超えると破壊されたり、倒れたりしてしまいます。
一昨年の台風でも、千葉県で送電鉄塔が想定外の強風で倒れたり、倒木で電線が断線したり、で複電までが長引きました。
自然の影響を受けるいろんな物の設計強度を一度見直す必要があると思います。
切りが無いのかも知れませんが、地球温暖化で回りの環境条件が昔とは異なって来ているので、是非見直して欲しいです。

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