本県でギバサと呼ばれ親しまれる海藻「アカモク」の生育不良が目立っている。
昨年の海水温の上昇が影響した可能性があり、男鹿市では原料不足のため廃業を決めた水産加工業者も出ている。
近年は健康効果が注目され、需要が拡大傾向にあるだけに、関係機関は資源維持の取り組みに力を注いでいる。
4月末から5月にかけ、ギバサの採取が盛んになる男鹿市戸賀地区。
今年は漁場に漁師たちの姿はなかった。
例年は17トンほどの水揚げがあるというが、今年は資源保護のため禁漁にしたためだ。
漁師の飯澤勉さん(70歳)は「採ろうと思えば3~5トンは採れただろうが、全て採取してしまうと継続できない。来年以降も漁を続けていくためだ。」と話す。
ギバサは強い粘りとシャキシャキした食感が特徴で、豊富に含む水溶性食物繊維はコレステロールの上昇を抑制する働きなどがあるとされる。
県水産振興センター(同市)によると、初夏に種を落とし根を張ったギバサは、幼体で夏場の高水温を過ごし、水温が低下し始める9月以降に急速に伸び始め、翌春に収穫適期を迎える。
昨年8~9月、男鹿半島の北浦、戸賀、船川の海水温は直近10年の平均を2.3~2.8℃上回って推移。
こうした異例の高水温が幼体の枯死や、サザエなどの巻き貝による食害を招いた可能性もあるという。
県内では今年、南部や北部でも生育不良の傾向がみられた地域があり、男鹿半島周辺で採れる海藻のアラメも今年は収穫がゼロだった。
センターは近年の漁業者の減少や、港湾や河川の整備による環境への影響といった複合的な外的要因に加え、高水温という大きな環境変化が海藻類の生育に影響したとみている。
男鹿市では水産加工業にも影響が出ている。
ギバサ加工品の製造販売を長く手がけてきた三高水産は、原料不足により年間を通じた従業員の雇用ができないとして、年度内に廃業することを決めた。
夏井勝博社長(67歳)は他県から調達することも一時は考えたというが、「秋田産として市場の評価を得ており、こだわりも持っている。
県産ギバサのイメージを崩すくらいなら退こうと決めた。」と話した。
今後は市内の別の加工業者にギバサ加工の技術を伝承したい考えだという。
市内では昨年度、地元の漁業者らでつくるグループがセンターの指導を受け、船川地区で養殖試験に乗り出した。
本年度は戸賀地区でも取り組みが始まった。
市農林水産課は、種を定着させる海中の岩盤の清掃費用や、漁具の購入にかかる費用を補助しており、「ギバサは男鹿の特産品。資源維持のため、養殖の取り組みを中心に後押ししていきたい。」と話した。
県水産振興センター、資源維持へ漁場づくりに本腰
県水産振興センターはギバサの資源維持に向け、漁場改良や養殖技術の開発に取り組んでいる。
漁場改良は2020年度以降、男鹿市沿岸の戸賀と八峰町沿岸の八森、岩館の3カ所に、コンクリート礁や天然の岩場を用いた試験区を設置。
ギバサの種を落とす岩盤を定期的にへら状の器具などで清掃し、付着した泥や他の海藻類を取り除いて表面を露出させることで、ギバサ漁場を効率的に造成する技術を開発した。
八峰町では、八森、岩館地区の漁師らがこの技術を活用してギバサ増殖に取り組んでいる。
戸賀では22年度までコンクリート礁4基を使って試験を行っていたが、本年度は10基に増やし、地元漁師らと連携して本格的に漁場づくりを進める。
約1トンの収量を見込んでおり、生育を促すため、5月上旬にコンクリート礁の清掃作業に取り組んだ。
県水産振興センターは「ギバサを中心に、海藻類や貝類などの『磯根資源』を増やす取り組みを進めている。
引き続き漁獲の安定や資源維持のための技術開発を進めたい。」としている。
秋田魁新報の記事
秋田魁新報のトップページ
<以下は白木個人の意見/感想です>
2021/5/22に「ギバサの藻場回復試験始動」記事を掲載し、2022/6/11に「ギバサの藻場回復に手応え」記事を掲載していますが、その後順調なんだろうか。
男鹿でこれほどの育成不良になっているとは思いませんでした。
町のふるさと納税の返礼品をみたら、ギバサが「在庫あり」となっていて安心しました。
ギバサ/アカモクはハタハタの産卵にもとても重要です。
どうか、この取り組みがこれからも順調に進捗することを祈っています。
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