秋田県沿岸のサケ漁獲、2000年以降で最少 ハタハタも不漁でダブルパンチ

本県沿岸のサケ漁獲量が昨年、ピーク時の6.8%に当たる81トンに落ち込み、記録の残る2000年以降で最少だったことが分かった。
県内では冬場の同時期に行われるハタハタ漁も記録的な不漁に見舞われ、サケ漁とハタハタ漁で生計を立てる漁師にとって「ダブルパンチ」となっている。

県内のサケ漁はにかほ、男鹿両市が盛んで、9~12月に定置網を使って行われることが多い。
県水産振興センター(男鹿市)によると、県内の2000年以降の水揚げは1180トンだった2009年が最多。
1その後は徐々に減少し、2022年は429トンと前年を上回ったものの、昨年は81トンと大きく減少した。
不振は国立研究開発法人・水産研究・教育機構(本部・神奈川県)の統計からも浮かび上がる。
本県の漁獲量は昨年、2001年以降で最も少ない2万8,106匹。
2005年にはその8倍の23万2千匹を水揚げしていた。

漁師を取り巻く環境は厳しさを増す。
にかほ市の象潟漁港に所属する定置網船「潟吉丸」は昨年、10月からサケ漁を始めたが、1度の出漁で20~30匹、少ない日では5、6匹しか取れなかった。
例年であれば200~300匹が網に入ることもあるという。

にかほ市を含む県南部はハタハタ漁も低迷した。
先月時点で季節ハタハタの漁獲はわずか107kg。
八峰町などの北部41トン、男鹿市北浦などの中央部52トンに比べ、大きな差が生じた。
潟吉丸の渡辺貞之代表(43歳)は「サケとハタハタがどちらもこれだけ取れないのは記憶にない。漁に使うロープの購入や修繕にもお金はかかるし、大きな痛手だ。」と苦悩をにじませた。
サケの不漁は北海道や東北の他県も同様だ。
水産研究・教育機構によると、国内の沿岸漁獲数は昨年、1,936万匹で平年の40%だった。
特に本州の太平洋側の落ち込みが目立った。
機構は太平洋側を中心に不漁の要因を調べており、本県など日本海側の状況の分析はまだ進んでいない。
一方、水産庁が設置した検討会は、気候変動に伴う海水温の上昇でサケにとっての適温期間が短くなったことや、回遊中に死ぬ個体が増えていることなどを仮説として提示している。

ふ化事業に暗い影…採卵数見通せず、県外から購入も

サケ漁の深刻な不振はふ化事業にも暗い影を落とす。
にかほ市象潟町の川袋川で事業を行う「川袋鮭(さけ)漁業生産組合」は例年、10月初めから遡上(そじょう)してきたサケを捕獲して採卵するが、昨年は作業が20日ほどずれ込んだ。
目標の1千万粒を確保できるか不透明だったため、北海道に出向いて業者から約70万粒を購入して間に合わせたという。
同組合ふ化場の池田裕場長(69歳)は「来年以降もサケが取れない状況が続けば、放流する稚魚の数が減り、遡上してくるサケの数がさらに減ってしまう悪循環に陥る可能性がある」と懸念。
「川袋川へのサケの回帰率をいかに上げるかを考えていきたい。」と語った。
大仙市などを流れる玉川、丸子川でふ化事業を行う「雄物川鮭増殖漁業生産組合」も昨年、採卵数は例年の半数以下にとどまる約120万粒だった。
海の不漁との因果関係は分かっていないが、繁忙期の11月ごろに増水が相次ぎ、作業できない日が多かったという。
三浦尚組合長(61歳)=同市花館=は「今後も温暖化などの影響でサケの捕獲数が減らないか、組合としても危機感を持って状況を見ていきたい」と話す。
国立研究開発法人・水産研究・教育機構によると、不漁にあえぐ本州太平洋側では数年前から十分に採卵数が確保できず、日本一の産地である北海道から卵を買い付ける動きが顕著になっている。
同機構は、放流する稚魚のサイズをある程度大きくし、海水温が上がり過ぎない適切な時期に放流するよう、ふ化事業者らに呼びかけている。
同機構水産資源研究所さけます部門の佐藤恵久雄業務推進チーム長(60歳)は「以前はふ化事業さえしっかり行っていれば大丈夫との見方もあったが、海の環境によるところが大きいことが分かってきている。できる範囲で対応策を打っていきたい。」と話した。

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<以下は白木個人の意見/感想です>
ハタハタだけで無く、鮭も大きく減ってるんっですか!
我が町では鮭はほとんど取れないのではないかと思います。
逆に養殖を始めたくらいです。
既に孵化事業を始めている地区もありますが、今後養殖にシフトしていくのでしょうか。
そうすると、逆に輝サーモンのライバルが多くなり、価格競争にならなければ良いのですが。

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