NEXT5が語った「これまでと、これから」 始まりは、小さな酒蔵同士の危機感だった

秋田県内5蔵元の経営者でつくる「NEXT5(ネクストファイブ)」のメンバーが、活動休止前最後のイベントを行ったこの日、これまでの歩みを振り返った。
イベント会場の秋田市のあきた芸術劇場ミルハスで顔を合わせ、2010年の結成、酒造りへのこだわり、これからを語った。

14年ほど前、秋田醸造(秋田市)の小林忠彦さん(62歳)に電話が入った。
山本酒造店(八峰町)の山本友文さん(53歳)が他県の取り組みを参考に「秋田でも蔵元でグループをつくろう」と持ちかけた。

他に集まったのは新政酒造(秋田市)の佐藤祐輔さん(49歳)、栗林酒造店(美郷町)の栗林直章さん(55歳)、福禄寿酒造(五城目町)の渡邉康衛さん(44歳)。
大量生産される安価な酒が主流だった時代で、小さな蔵の主だった5人は経営に危機感を抱いていた。

「秋田の酒造業界の次世代を担う」
いずれも杜氏(とうじ)として製造に関わっていたため、集まれば決まって酒造りの話になった。
協力して技術を高め日本酒文化を広めようと、小林さんがリーダーとなりNEXT5を結成。
名前には「秋田の酒造業界の次世代を担う」との意欲を込めた。
当時の活動のメインは「利き酒会」。
自分の蔵の酒を持ち寄り、銘柄を隠して点数を付け評価した。
ここでのやりとりが発展し、各蔵が持ち回りで製造工程を受け持つ「共同醸造」への挑戦につながった。
「良いものを作って危機を乗り越えようという同じ目標を持っていたからできた」と山本さん。
酒を酌み交わしながら、ざっくばらんにアイデアを出し合った。
意見はばらばらでも尊重し合い、ぶつかることは一度もなかった。

共同醸造で異業種コラボ、チャリティーイベントも
共同醸造は技術を持ち寄るだけでなく、フランスの有名菓子店「ピエール・エルメ・パリ」など異業種とのコラボを実現させた。
若年層向けのイベントなどを企画し、日本酒愛好家以外にも積極的にアプローチ。
2011年の東日本大震災発生後は、すぐにチャリティーイベントや被災した蔵元を招いた報告会を開催した。
若手を加えて再出発することも考えたが、5人以外での活動は想像できなかった。
共同醸造について「同じことを繰り返しても意味がない」と意見が一致した。
渡邉さんは「自分たちの目的は共同醸造やイベント開催ではなく、刺激し合って酒造りの技術を磨くこと」と強調。
個々の経営に専念するため、活動休止を決めた。

日本酒文化を広めるために、できることがある
各蔵が主力とする純米酒や純米吟醸酒の人気向上や、若者への日本酒文化の浸透などに手応えを感じている。
「日本酒文化を広めるためにまだまだできることがある。ものを作るだけでは駄目だということを学んだ」と佐藤さん。
栗林さんは「地元に根差した取り組みをしたい」。
今後は技術交流を続け、酒造りにとどまらず観光や体験をテーマにした活動を思い描く。
小林さんが言った。
「5人で造った共同醸造酒を全国の品評会に出してみたかったな」。
最後に少しだけ名残惜しさをにじませた。

秋田魁新報の記事

秋田魁新報のトップページ

<以下は白木個人の意見/感想です>
前回記事でもコメントしましたが、2,3年後には是非「NEXT 5 Part2」を期待したいです。
その時には更に磨いた腕を見せていただきたいです。
出来れば、私にも入手可能な金額で。

皆様も投稿記事への感想やご意見など何でもご自由にコメントし、コミュニケーションしませんか。

※ この画面を下ヘスクロールするとコメント欄が表れます。
この投稿記事に対して誰でもが何人でも自由にご自分の考えや思ったことをコメントできます。
また、そのコメントに対して誰でもが何人でも自由に返信コメントができます。
投稿記事をテーマにしてコミュニケーションしましょう。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です